令和7年度 人事労務の主要動向
法改正、働き方の多様化、新たな課題への対応など、企業の人事労務担当者が把握すべき最新情報をインタラクティブに解説します。各セクションで重要なポイントを確認し、適切な実務対応にお役立てください。
法改正と制度変更
2025年度は、税制、年金、社会保険制度において重要な法改正が目白押しです。企業の義務や従業員の権利に直結する変更点を正確に理解し、実務への影響を把握することが不可欠です。ここでは、各改正の要点と施行時期を分かりやすくまとめました。
📝 令和7年分 年末調整
所得税の基礎控除見直し、特定親族特別控除の新設など、複数の変更があります。新様式の早期周知が重要です。
- 基礎控除の見直し
- 特定親族特別控除の創設
- 扶養親族の所得要件改正
⚖️ 社会保険労務士法改正
社労士の使命規定が新設され、業務に「労務監査」が明記されました。また、「社労士」の名称使用制限も強化されます。
📈 年金制度改革
在職老齢年金制度と標準報酬月額上限が見直されます。高齢者の就労促進と負担の公平化が目的です。
在職老齢年金: 支給停止基準額が50万円 → 62万円へ (2026年4月〜)
標準報酬月額上限: 65万円から段階的に75万円へ引上げ (2027年9月〜)
🏢 社会保険の適用拡大
パート・アルバイトの社会保険加入対象がさらに拡大。「年収106万円の壁」も撤廃予定です。
企業規模要件を段階的に縮小
企業規模要件を完全撤廃
🎓 教育訓練休暇給付金
2025年10月開始。労働者が自発的に30日以上の無給休暇で教育訓練を受ける場合、生活費が保障されます。
新しい働き方と人材マネジメント
働き方の多様化は加速し、企業には柔軟な対応と新たな人材マネジメント戦略が求められています。ここでは、「スポットワーク」の適正な運用から、Z世代の定着、共働き・共育て社会の実現に向けた最新の動向を解説します。
📱 スポットワーク
厚労省が労務管理のリーフレットを公表。労働契約の成立時期や休業手当、労災保険など、使用者側の注意点を明確化しました。
🤝 Z世代の離職防止策
Z世代の満足度と管理職の認識には約17%のギャップが。「残業時間の短さ」や「上司との関係」が満足の鍵です。
👩👧👦 働く母親と両立支援
児童のいる世帯の母親の就業率は80.9%で過去最高に。2025年10月より、育児期の柔軟な働き方措置が事業主に義務付けられます。
👨👩👧👦 共育(トモイク)プロジェクト
「イクメンプロジェクト」後継事業。男性の育休取得促進に加え、長時間労働の是正や男女の家事・育児分担の見直しを重視し、企業に職場風土の改善を促します。
労働環境の課題
従業員の心身の健康を守り、安全な職場環境を維持することは企業の責務です。特に精神障害に関する労災認定は増加傾向にあり、中でもカスタマーハラスメントが新たな課題として浮上しています。法改正の動向も踏まえ、対策の重要性を確認します。
🧠 精神障害の労災認定が過去最多
令和6年度、精神障害による労災認定は1,055件と初めて1,000人を超え、6年連続で過去最多を更新。特に顧客等からの著しい迷惑行為(カスハラ)が原因のケースが倍増し、大きな社会問題となっています。
2025年6月には改正労働施策総合推進法が成立し、企業にカスハラ防止対策が義務付けられます。未対策の企業は早急な対応が必要です。
手続きカレンダー
税務・労務に関する主要な手続きの期限をまとめました。計画的な業務遂行にお役立てください。
8月12日 (月) 振替休日
- ✔️ 源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付
- ✔️ 雇用保険被保険者資格取得届の提出
9月2日 (月)
- ✔️ 個人事業税の納付 (第1期分)
- ✔️ 個人の道府県民税・市町村民税の納付 (第2期分)
- ✔️ 健保・厚年保険料の納付
- ✔️ 各種報告書の提出